2026年8月19日

土壇場の売り込みからフォートナイトでの成功まで:Future Trash の UEFN の道のり

Future Trash の CEO、ケビン・マルシアーノ氏が State of Unreal 2026 のステージに立ったとき、与えられた時間はわずか数分でした。存続に苦しむインディー スタジオから、UEFN の大ヒット作「Star Wars: Droid Tycoon」のリリースに至るまでの道のりを、その短い時間で語らなければならなかったのです。

その短いステージ プレゼンテーションの裏には、先の見えない不安、難しい決断、そして新しいゲーム開発プラットフォームをゼロから学ぶという課題に満ちた、はるかに長い道のりがありました。その全貌をお伝えします。

全ては 2023 年 3 月の GDC で始まりました。マルシアーノ氏は、チームが過去 1 年間取り組んできたゲームへの関心を集めるために全力を尽くしていました。それは、マルシアーノ氏が 12 か月前に共同設立したインディー開発スタジオ、Future Trash にとって最後の賭けでした。 

スタジオは対戦型パーティ ゲームのバーティカル スライスに取り組んでいましたが、パブリッシング契約を確保するのが難しくなっており、プロジェクトを推進するための不可欠な資金は、ますます手の届かないものに見えていました。

「数か月分の資金しか残っていませんでした」とマルシアーノ氏は振り返ります。「Steam Deck を持って GDC に足を運び、自分たちが作ったものに誰かが関心を持ってくれないかと必死でした」

ストレスの多い数日間でした。交渉がまとまらず、マルシアーノ氏は、従来のパブリッシングが自分のゲームにとって現実的な道ではないと受け入れざるを得ませんでした。その後、Epic は同じカンファレンスの State of Unreal で Unreal Editor for Fortnite (UEFN) を発表しました。 

観客席で見ていたマルシアーノ氏にとって、それはひらめきの瞬間でした。「自分たちのゲームをフォートナイトに持ち込んでみてはどうか、と考えました」とマルシアーノ氏は続けます。「あの大胆なピボットは会社を救っただけでなく、ゲーム業界の未来に対する見方まで変えてくれました」

マルシアーノ氏は基調講演を後にし、チームはすぐに作業に取りかかりました。マルシアーノ氏がまだ GDC にいる間に、チームは 2 日間でゲームの全ての UE5 アセットを UEFN に移植しました。日曜日までに、FOAD Lane Wars の大枠が出来上がりました。すぐに Epic イチオシ で紹介された MOBA ライトな体験です。 

「従来のパイプラインの 6 か月を省略したような感覚でした」とマルシアーノ氏は言います。

開発を進められるスピードは爽快でしたが、チームにはデベロッパーが作成した島やフォートナイトの経験がありませんでした。UEFN に切り替えることは、一か八かの賭けのように思えました。

「私たちは部外者のように感じていました」とマルシアーノ氏は語ります。「このオーディエンスにどんなタイプのゲームが受け入れられるのか、私たちには分かりませんでした。自分たちがしっくりくると感じたものを、とにかく作り始めたんです。

「Steam で開発してリリースするのに 9 か月かかったものが、UEFN では 3 週間もかかりませんでした。そのとき、私たちは顔を見合わせて『これだ』と思いました。この速度での開発こそが、ゲームの未来です」

素晴らしいゲームを作ることは始まりに過ぎない

Future Trash は、ケビン・マルシアーノ氏、ネイト・リース氏、スコット・ウリマン氏、エリック・レイノ氏の 4 人が Unreal Engine 5 でオリジナル IP「FOAD: Fully Operational Annihilation Devices」を作るために仕事を辞めた 2022 年に設立されました。

擬人化された爆発物キャラクターと 90 年代的な反骨精神を前面に押し出した、真に独創的なクリエイティブ ビジョンでした。バーティカル スライスを作って Steam で公開し、反応を待ちました。

ゲームのインストール数は 3,000 でした。「ビジネスとして成り立たせるには、とても足りない数字です」とマルシアーノ氏は言います。

Future Trash のこの経験は特殊なケースではありません。ディストリビューションと発見されやすさは、全てのデベロッパー、特にインディー レベルのデベロッパーにとって大きな課題となっています。マルシアーノ氏とチームは素晴らしいものを作りましたが、それを気に入ってくれるプレイヤーへの道が残されていませんでした。

バックエンド インフラ、発見されやすさ、ディストリビューション。小規模チームが成功するための障壁は無数にあり、Steam のような従来のプラットフォームでは、その全てを同時に解決しなければなりません。

インディー開発の新しい道

GDC での重要な週末から数か月後、Future Trash は、マルシアーノ氏がスタジオを救ったと語るゲーム「Boom Tycoon」をリリースしました。 

Boom Tycoon」は瞬く間に注目を集め、数週間で 20 万人のユニーク プレイヤーを獲得しました。Steam での前作がなんとか積み上げた合計 3,000 インストールとは対照的な結果です。

Future Trash にとっては大きなブレイクでした。UEFN へのピボットが功を奏し、フォートナイトのオーディエンスが自分たちの作るものを求めていたことを、さらに裏づける結果となりました。

飛躍は一夜にして起こったわけではありません。初めての創業者として、マルシアーノ氏は、困難な初期を乗り切るためのガイドブックはなかったと述べています。チームはプラットフォームを学びながら、構築とイテレーションを続け、フォートナイトでいくつかの体験をリリースしました。UEFN でアイデアを試し、検証できるスピードは、スタジオを次の段階へ押し上げるうえで決定的でした。うまくいったプロジェクトだけでなく、うまくいかなかったプロジェクトがあったからこそです。 

GDC の週末に立ち上げた FOAD Lane Wars は、他のデベロッパーからは好評でしたが、当時のフォートナイトのオーディエンスにはあまり響きませんでした。リリースされなかったゲームもありました。しかし、チームは失敗も含めた複数のリリース サイクルを乗り越え、やがて足がかりをつかみます。フォートナイトのオーディエンスが押し寄せるタイトルを次々とリリースし、その中には BoomBoss Battle や、The Game Awards 2024 で Best User-Created Island 部門にノミネートされた Factory Deathrun も含まれます。 

Boom Tycoon の急速な台頭に続き、Future Trash は Box Fight PVP でもう一つの大きな勝利を収め、共同創業者たちはベンチャー キャピタルからの出資を求める自信と確信を得ました。2024 年後半の 500 万ドルのシード ラウンドまでに、Future Trash は UEFN でのリリース全体で累計 20 億分を超えるプレイ時間を記録していました。 

スケールアップ

これはスタジオの成長軌道の始まりに過ぎませんでした。その後に続いたのは、コア メンバーの急速な拡大でした。

ライセンス取得済みのティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ (TMNT) モード「Mythic Medallions」や、自社ヒット作の続編で The Game Awards 2025 のフォートナイト部門にノミネートされた「Boom Tycoon 2」などが成功例です。Future Trash は別のスタジオとその島まで買収し、Axis Studios を FOAD の傘下に置きました。これにより、チームは We're Cooked のイテレーションを続けることができました。 

そして極めつけとなったのは?MrBeast のチームがスタジオの作品を知り、直接声をかけてきたことから実現した、MrBeast: Beast Parkour とのコラボレーションです。人気 YouTuber の番組 Beast Games のために制作されました。

Factory Deathrun、Beast Parkour、Box Fight PVP、そして Boom Tycoon は全て、会社のそれぞれの段階で私たちに変革をもたらしたリリースでした」とマルシアーノ氏は言います。 

スター・ウォーズ™ IP の可能性を追求する

プレイヤー数、The Game Awards へのノミネート、そしてスピード感を持ってリリースと改善を繰り返せる実力。Future Trash の実績は Epic の注目を集めていました。その結果 Epic は 2025 年後半、正式にライセンスされた スター・ウォーズ アセットへの早期アクセスを許可される少数の UEFN クリエイターの 1 社として、同スタジオを選出しました。 

小さなチームの Future Trash にとっては、想像すらできなかった快挙でした。このプログラムでは、新しいツールキットの可能性を示すリリース準備の整った島の制作を任された少数のフォートナイト デベロッパーが集められました。デベロッパーはより広範なクリエイター エコシステムへの公開前にフィードバックを提供し、ツールキットの方向性づくりに貢献しました。

スタジオを救うための最後の手段として UEFN での歩みを始めたマルシアーノ氏にとっては、いくぶん現実離れした出来事でした。「オリジナルの スター・ウォーズ ゲームを作る機会があるとは、夢にも思いませんでした」とマルシアーノ氏は言います。 

その機会は、Droid Tycoon として具体化しました。「スター・ウォーズ のドロイドは、最も過酷な仕事をこなし、絶望的な状況を生き延びながら、最も評価されない存在です。だからこそ、彼らを主役にしたゲームを作ろうと考えました」とマルシアーノ氏は言います。「Droid Tycoon は、スター・ウォーズ ユニバースにおける縁の下のヒーローたちへの、私たちからのラブレターでした」

タイクーン系ゲームで培ったノウハウと、誰もが一目でそれと分かるスター・ウォーズのドロイドたち。この組み合わせは瞬く間にヒットしました。 

Droid Tycoon は初月で 15 億分のプレイ時間を記録しました。初週末にはフォートナイト全体で 2 番目に多くプレイされたゲームとなり、フォートナイト史上、IP 体験としては 2 時間あたりの最高同時接続プレイヤー数の新記録を樹立しました。これら全てを、約 9 人のチームがわずか 5 か月で作り上げました。Epic はその後、Droid Tycoon のパブリッシング権を FOAD に譲渡しました。FOAD は現在、独立してゲームをパブリッシュおよび運営しています。

プレイヤー アクティビティの規模はスタジオに相応の エンゲージメント配当 をもたらし、一方で 島内取引 もますます重要な収益機会として台頭しています。  

「今のゲーム業界で独立したビジネスを築くことが目標なら、大きな収益を生み出すプラットフォームとして UEFN は間違いなく最適です」とマルシアーノ氏は言います。「Droid Tycoon のエンゲージメント配当だけで、数十人規模のゲーム スタジオを維持できます。そして島内取引が可能になったことで、ゲーム デベロッパーにはまったく新しい次元の機会が開かれます」

    物語は State of Unreal で原点に返る

    今年、マルシアーノ氏は Unreal Fest Chicago の State of Unreal 基調講演でステージに立ちました。3 年前、客席から UEFN の発表を見ていたのと同じ基調講演です。 

    マルシアーノ氏は Future Trash の歩みを世界中のデベロッパー コミュニティに紹介し、UEFN がインディー デベロッパーにもたらす可能性を自ら証明してみせました。UEFN 発表前の State of Unreal では客席でスタジオの将来を案じていたマルシアーノ氏が、イベントを代表する成功事例となり、他の UEFN デベロッパーの励みとなるまでになりました。その道のりは、まさに変革そのものでした。

    「何年も作っては失敗を重ねてきました。決して諦めず、プロセスを信じることの大切さを改めて実感しました」とマルシアーノ氏は語ります。「本当に素晴らしいことが起きるんです」

    Future Trash の挑戦はまだまだ続きます。スタジオは、新しいアップデートで Droid Tycoon を新鮮に保ち、ビジュアル クオリティとストーリーテリングの両面で UEFN の可能性の限界を押し広げ続けると同時に、時代を超えて愛される独自のオリジナル IP の構築も進めていく考えです。 

    UEFN を試してみようと考えているデベロッパーへの、マルシアーノ氏のアドバイスはシンプルです。「袖をまくって、とにかく作り始めることです」「挑戦を続けてください。そして、他のゲームをプレイして、そこから学んでください」

    2023 年にマルシアーノ氏の前に開かれた扉は今も開いたままで、未来はエキサイティングな可能性に満ちています。 

    マルシアーノ氏のスタジオにおける UEFN での経験をさらに詳しく知りたい方は、最近のインタビューをご覧ください。

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